卒業論文 現代祈祷寺院の機能と構造

祈願・祈祷

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大本山成田山仙台分院の経営 祈願・祈祷

大本山成田山仙台分院の祈願・祈祷

 大本山成田山仙台分院の経営の二つ目の柱は、祈願・祈祷である。祈願・祈祷には下表に示した通り多くの種類が存在する。仙台分院は祈祷寺院なので、祈願・祈祷にもっとも力を入れていることは先程述べたとおりで、信徒に対して働き掛けて祈祷に来る人を増やそうとしている状況である。
 成田山における信仰対象は、不動明王であり、信者たちには「お不動様」と呼ばれ親しまれている。大本山成田山仙台分院における祈祷は、護摩木という薪をご宝前で焚き、同時に導師が祈願者の名前と願いが成就するように一心に念じる密教の秘法である。(大本山成田山仙台分院ホームページより)
 祈願・祈祷を中心に運営している大本山成田山仙台分院だが、表4のような祈願・祈祷だけを行っているわけではない。その中でも信徒側からの発信によって生まれたものと、寺院側の新たな試みによって生まれたものがある。

祈願・祈祷一覧
厄払祈願御祓い家内安全
身体健全無病息災当病平癒
心願成就災難消除開運成就
学業成就合格祈願事業繁栄
商売繁盛就職成就良縁成就
交通安全安産祈願子宝成就
夫婦円満家庭円満必勝祈願
安全祈願工事安全工場安全
旅行安全海上安全大漁満足
五穀豊穣願解御礼厄難消除
節分祭七五三お宮参り
方災除外祭人形供養
御焚き上げ寄進供物
奉納旗

人形供養祭・節分祭
 祈願・祈祷に関して、信徒側からの要望に応えているものは、人形供養である。表2に記載されているが、大本山成田山仙台分院が人形供養を公に行い始めたのが平成16年である。その前から一年に一回ほど人形の供養を行っていたのだが、その模様をテレビのニュースで取り上げられたのをきっかけに問い合わせが増えて、公に行うようになった。また、現在では、年に一回、仙台市内の保育園児約200人を寺院に無料で招待して人形供養祭を開いている。この人形供養祭は寺院側でバスを用意し、園児一人一人に対して雛あられを配って、園児たちに人形を大切に扱おうという気持ちを持ってもらうために行っているものだ。この祭りは、園児たちが目の前のたくさんの人形を見て楽しんでくれたらという願いと、今は寺院について全く知らなくても、大人になってから子供のころ寺院で人形供養をしたということを思い出して、そこから信仰につながればいいという願いが込められた祭りである。この人形供養祭から寺院経営について考察するに当たり、気になるのは、寺院側が費用をすべて負担して園児を無料で招待するという部分だ。バスを約10台、人数分の雛あられの総額50万円以上を寺院側で負担しているとなれば、寺院の経営に与える影響は少なくないはずである。しかし、それでも全額負担するのは、先程述べた二つの願いの実現のためと、寺院としての本分を全うするためという理由があるからだ。寺院は仏教の信仰を広めるためのものとの考えが念頭に置かれており、寺院の金銭的な利益よりも、園児たちに対して普段から人形を大切に扱うようにという考えを根付かせるという公益の方を重視している。
 そしてもう一つ、公益的なものがある。それは節分祭である。2月に寺院で行われる節分祭には、信者の方たち向けに祈祷をする日と留学生を招待して日本の文化に触れてもらおうという日がある。公益的なのは後者の方である。この留学生を招待することに関して協力している団体がある。それは「萩の会」だ。「萩の会」とは、在仙外国人留学生と、その留学生ご家族を対象に、手作りで日本の伝統文化にふれ合いながら、異文化交流を通し国際親善、国際交流を目指す目的で作られた団体である(「萩の会」ホームページより)。大本山成田山仙台分院が日本の文化を発信することに一役買っている。こちらも、人形供養祭と同様に経営に関わる部分ではなく公益性を重視している印象を受ける。外国の方々に、日本の文化とともに日本の仏教についても学んでほしいという意図が読み取れる。
 このように大本山成田山仙台分院では、祈祷に関して直接的に寺院経営に関わるものだけではなく、公益性を重視している取り組みを行っている。

インターネットの活用
 大本山成田山仙台分院では、祈願・祈祷に関して、H26年までインターネットを活用した取り組みが存在した。それが、「ネット祈願」と「ネット水子」である。「ネット祈願」とは、祈祷を申し込みたい人が、遠方にいても祈祷を受けられるようにと始めた取り組みで、寺院に送られてきた申込書を寺院側で祈祷し、それをデータ化したのちに添付ファイルで申込者に送るというものである。そして「ネット水子」とは、水子供養をしてもらいたいが、遠方に住んでいるため寺院に直接行くことができないというような人のために、インターネットを活用して水子供養をするという取り組みである。サーバ上に水子地蔵を作り、申込者それぞれにIDを発行することで、ログインすればいつでも水子地蔵を拝むことができるというシステムである。どちらも非常に好評で、取り組みを開始してから年々申込数は伸びていったが、H26年に終了することとなった。終了したとはいっても、新たに受け付けないだけで、これまで利用していた方々は、これまで同様アクセスして水子地蔵を拝むことができる。
 終了した理由として、インターネットによる祈祷や供養だと寺院側からの一方的なやり取りになってしまうため、申込者が本当に信仰を持っているのかどうかが不透明になってしまうということが挙げられる。水子供養に関していえば、一回供養すれば良いというものでもなく信仰をもって何度も拝むことが大事である。これを、インターネットによるものでは、寺院側から確認できないため、寺院側としては不都合だといえる。
 好評だったとは言え、寺院を運営するうえで最も大事なのは「信仰」であるということがわかる。

大本山成田山仙台分院ではぬいぐるみ供養もおこなっています。

 大本山成田山仙台分院は地元地域の卒業論文に協力しています。
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大本山成田山仙台分院
住所   :〒980-0845 宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉33−2
電話番号 :(022)225-8640

  

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