卒業論文 現代祈祷寺院の機能と構造

獲得に向けた取り組み

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信者獲得と定着に向けた取り組み 獲得に向けた取り組み

信者獲得に向けた取り組み

 まず獲得に向けた取り組みについて述べる。大本山成田山仙台分院が獲得しなければならないものとして大きく二つ挙げられる。一つは信徒でもう一つが檀家である。そして獲得される側の人は、言うまでもなく現時点で信徒もしくは檀家ではない人なのだが、その中でも二つに分けることができる。それは参拝者と未信者という分類である。本稿で扱う参拝者は、ただ大本山成田山仙台分院に参拝しに来たことがある人で、未信者は信徒、檀家、参拝者のいずれにも該当しない人と定義する。つまりこの節では、これまで大本山成田山仙台分院との関係がなかったもしくは薄かった人を獲得するために、寺院が具体的に行っている取り組みについて取り上げる。しかし、現在大本山成田山仙台分院では参拝者向けに行っている取り組みは特に存在しない。したがって未信者に向けて行っている取り組みを中心に論を展開する。信徒、檀家それぞれについて次以降の項で詳しく述べる。

信徒の獲得
 未信者とは、信徒、檀家、参拝者のいずれにも該当しない人である。要するに、大本山成田山仙台分院に直接的にかかわったことがない人である。信徒、檀家、参拝者、未信者のうち未信者が最も数として多いのは、当たり前のことだ。したがって、この未信者をいかにして信徒や檀家にしていくのかが非常に重要になってくる。
 未信者の中には、大本山成田山仙台分院について知っている人、知らない人のどちらも多く存在するだろう。しかし、これらの人々はこれまで直接大本山成田山仙台分院に関わることがなかった人たちであり、何も発信しなければこれからも関わることがない人がほとんどである。この不特定多数の人々に対して寺院について発信する最も効率的な手段は、テレビや新聞などのメディアを介することだ。テレビや新聞などは、多くの人が毎日見るので、多くの人の目に入りやすく、名前を知ってもらうという目的なら最も効率的である。大本山成田山仙台分院でも、かつてはテレビのCMや新聞などで「広告」を行っていた。しかし、それらもH15年頃にすべて終了してしまった。終了してしまった理由として挙げられるのは、テレビや新聞などは費用対効果が薄いことだ。CMや新聞などを使って広告を出すと、多くの人に対して発信はできるが、その分お金がかかってしまう。広告の中で最も長く続いていたタウンページによるものもインターネットの普及により紙媒体の電話帳があまり使われなくなったこともあり、影響力が薄くなっていったためH15年に終了になった。
 CMや新聞による「広告」を終了した大本山成田山仙台分院だが、その代わりに力を入れていることがある。それは、寺院のホームページを工夫することだ。未信者の中には、一生祈祷寺院には関わらないという人もいる。しかし、そうではない人たち、つまり祈祷や供養をしなければならない、もしくはしてもらいたい人たちもいる。この取り組みは、後者の人々に対してより効果的に発信できるものだ。具体的に述べると、他の寺院では寺院のホームページから、ホームページ内の祈祷や供養それぞれのページに進むのが一般的であるが、大本山成田山仙台分院では一つのホームページから初詣や祈祷のようなそれぞれのリンクにつなげるのではなく、はじめからそれぞれのホームページを独立させて作っている。

大本山成田山仙台分院 「初詣」ホームページ 大本山成田山仙台分院 「祈願」ホームページ

 この方法は祈祷関係だけではなく、納骨堂や永代供養墓など墓関係のホームページにも採用されている。そのため、信徒の獲得だけではなく檀家の獲得にも貢献しているといえる。この方法によるメリットとは、大本山成田山仙台分院でインターネット関係を担当している方曰く、「仙台で水子供養や納骨堂を利用したい人がインターネットで検索するとき、検索結果の上位に来るようになっているため、大本山成田山仙台分院という名前を知らない人でも大本山成田山仙台分院のホームページを閲覧してくれる」ことだ。他の寺院が採用している方法では、その寺院のホームページはその寺院を知っている人しか閲覧する機会がない。
 先ほども述べた通り大本山成田山仙台分院では、インターネット上の検索では仙台においての検索結果の上位に必ず来るような心がけをしている。検索結果の上位にいることによる恩恵は少なくない。例えば、先述の通り寺院の名前を知らない人でも閲覧できることだ。そしてさらに、メディアに取り上げられる回数が増えるという利点もある。(人形供養感謝祭
 続いて参拝者について述べる。参拝者とは、信徒や檀家ではなくただ大本山成田山仙台分院に参拝しに来た人である。参拝者の中には「観光で来る人」、「お守りを求めに来る人」、「御朱印を目的に来る人」など目的は様々だ。現在この寺院において参拝者に対し特別行っていることはない。かつては、参拝に訪れた人を記帳していたが、祈祷を行うまで至る人があまりいなかったので記帳は行わなくなった。しかし、寺院側はこれから力を入れていかなければならない対象であると考えている。そのように考えるのは、既存の信者だけを大切にしていても、新しく信者を取り込まない限り時代とともに寺院は縮小していくだけだという考えに基づいている。参拝者は実際に寺院に足を運んでおり、直接寺院と関わりを持っているため、大本山成田山仙台分院に直接関わりがない未信者と比べて信者になる可能性は高い。そのため、より効率的である参拝者向けの取り組みを中心に進めていくのも一つの手である。

檀家の獲得
 続いて、どのようにして檀家を獲得しているのかについて記述する。ここでも獲得の対象となるのは未信者と参拝者である。前述のように参拝者向けに行っている取り組みは特に行っていないため、未信者の獲得について述べる。大本山成田山仙台分院では、現在納骨堂や永代供養墓の分野に力を入れている。前でも少し触れたが、年々申し込み軒数も増加しており、檀家寺院としての役割も果たしてきている。しかし、もともと祈祷を中心に成り立っている大本山成田山仙台分院に檀家として年々申し込みが増えているということは、何かこの寺院でなければならない特別な理由があるはずである。その理由として考えられるのは、大本山成田山仙台分院は他の寺院にはあまり見られないいくつかの特徴を売りにしていることだ。その六つとは、@葬儀も合わせてできることA寄付金がないことB金額が明瞭であること(法要と供養)C納骨堂の管理者がいなくなったら合祀に切り替えられることD他の寺院でもらった戒名を持っている場合でも対応することである。説明を要すもののみ具体的に記述する。
 では、まず@から説明する。@は大本山成田山仙台分院では、納骨堂などの墓をもつことだけでなく葬儀も合わせて行うことができるということだ。次はAだが、寄付金がないとはどのようなことなのかというと、通常他の寺院で檀家になるには入檀金、割り当て寄付金、修繕寄付金などが必要であるのに対し、大本山成田山仙台分院では一切受け取っていない。つまり納骨堂などそれ自体に支払う金額以外には支払いが発生しないということである。次はBである。大本山成田山仙台分院では納骨堂、葬儀などに関わるあらゆる金額があらかじめ明確に記されている。寄付金においても同様のことがいえるが、大本山成田山仙台分院では金額に関して明瞭にすることを心掛けている。その理由は次の通りである。例えば葬儀においては、遺族の方々はお金の心配などしているような心理状況ではないため、せめてお金の部分だけでも不安な気持ちを取り除いてあげたいという考えから大本山成田山仙台分院では金額を明瞭にするようにしている。金額が不明瞭である寺院では、葬儀の後にさらにお金を徴収され事前に説明した、説明していないで口論になったという話をよく聞くと住職から伺った。もめごとが起きてしまうと、寺院、檀家お互いにこれからもよい付き合いをするのは困難である。そのような話を聞いているからこそ、大本山成田山仙台分院では明確にすることで、檀家との長期的な付き合いを始める第一歩としていると筆者は考える。続いてCであるが、これは記述の通りのため説明を省く。また、Dは他の寺院がつけた戒名がある場合、真言宗以外の宗派に属している場合でも大本山成田山仙台分院では対応するということだ。要するに、全て大本山成田山仙台分院で行うということは義務付けられてはいないという内容である。この取り組みから、宗派の枠にとらわれない姿勢が読み取れる。
 これら六つの特徴により、大本山成田山仙台分院は檀家の獲得を試みている。

 大本山成田山仙台分院は地元地域の卒業論文に協力しています。
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大本山成田山仙台分院
住所   :〒980-0845 宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉33−2
電話番号 :(022)225-8640

  

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